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過払金の利息の利率に関する裁判例
7 過払金の利息の利率に関する裁判例
●最高裁判所第3小法廷平成19年2月13日判決(民集61巻1号182頁)
【問題となった争点】
過払金に付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民事法定利率(年5%)と商事法定利率(年6%)のいずれによるべきか。
【判決の要旨】
「商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分と解するのが相当である。なぜなら,商法514条の適用又は類推適用されるべき債権は,商行為によって生じたもの又はこれに準ずるものでなければならないところ,上記過払金についての不当利得返還請求権は,高利を制限して借主を保護する目的で設けられた利息制限法の規定によって発生する債権であって,営利性を考慮すべき債権ではないので,商行為によって生じたもの又はこれに準ずるものと解することはできないからである。」
【解説】
本判決は,従来争われていた過払金の利率について,商事法定利率(年6%)ではなく,民事法定利率(年5%)とすべきことを明らかにしたものです。