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民事再生 Q & A

<民事再生の概要>

Q.民事再生とはどのような手続ですか?
民事再生とは,法律の規定に従って,債務額を大幅に減額したうえ,裁判所に認められた再生計画に基づいて,分割して支払う手続です。
支払を継続する手続ですので,継続反復した収入を得ることができる者でないと選択することができません。
民事再生の手続には,通常の民事再生と,小規模個人再生・給与所得者等再生(以下,「個人再生」といいます)があります。
通常の民事再生は法人を主体とした関係者が多い場合を想定し,手続が複雑になっていますが,個人再生は,個人のみを対象としているため,通常の民事再生に比べ,手続が簡略化されています。基準としては,住宅ローンを除く債務額が5000万円を超えた場合には民事再生,5000万円以下の場合には個人再生となります。
個人再生では,住宅ローンを別扱いにして住宅を残すことができる制度も設けられており,マイホームを手放さずに住宅ローン以外の債務額を減額して債務整理ができる点が大きな特徴です。

Q.通常の民事再生と個人再生はどのような違いがありますか?
・利用者
個人再生は個人しか利用できませんが,通常の民事再生は法人も利用できます。
・債務総額の制限
個人再生は,住宅ローンを除く債務総額が5000万円以下の場合にしか利用できません。これに対し,通常の民事再生はそのような金額の制限はありません。
・借金の減額の制限
個人再生では,
①最低弁済額か
②清算価値のいずれか多い方の金額(給与所得者等再生の場合は,さらに
③可処分所得を含めてその中で最も多い金額)を最低限支払う必要があります。
これに対し,通常の民事再生は②清算価値保障の原則さえ満たしていれば,①最低弁済額や③可処分所得のような減額についての制限はありません。
・再生計画案の認可要件
再生計画案の認可要件として,債権者の過半数および債権額の2分の1以上の同意が要求されます。
この要件自体は,手続に違いはありませんが,届出をしなかった債権者の取扱いが手続によって違います。 個人再生の場合,届出をしなかった債権者がいる場合,その債権者は再生計画案に賛成同意しているとみなされます。
これに対し,通常の民事再生の場合,届出をしなかった債権者がいる場合,個人再生とは逆に,その債権者は再生計画案に反対しているとされます。
このように,通常の民事再生では,再生計画案の同意を得るため,個人再生とは異なり事前に十分な説明・交渉が必要となってきます。
なお,給与所得者等再生の場合には債権者の同意は不要です。
・手続費用
個人再生の場合に比べ,通常の民事再生は高額の予納金が必要となります。
・ハードシップ免責
個人再生の場合には,再生計画の途中で支払が困難となった場合,残高を免除してもらえるハードシップ免責という制度があります。
しかし,通常の民事再生の場合にはこのような制度はありません。

Q.小規模個人再生とはどのような手続ですか?
小規模個人再生とは,住宅ローン以外の借金の総額が5000万円以下であり,継続して収入を得る見込みがある個人の方が利用できる手続です。
小規模個人再生の場合には,原則として3年間(場合によっては5年間)で,①法律で定められた最低弁済額か②保有財産の現在の合計金額のいずれか多い方の金額を最低限支払うことで残額の支払が免除される手続です。
また,給与所得者等再生とは異なり,再生計画認可の要件として,債権者の過半数の反対がなく,かつ債権額の2分の1以上の反対がないことが要求されます。

Q.給与所得者等再生とはどのような手続ですか?
給与所得者等再生とは,小規模個人再生を利用できる方のうち,給与等の安定した収入があり,収入の変動幅が小さい方が利用できる手続です。
給与所得者等再生の場合も,①最低弁済額と②清算価値のいずれか多い方の金額を支払う必要がありますが,
小規模個人再生とは異なり,①最低弁済額の算定の際に,③可処分所得(収入から所得税等を控除し,さらに政令で定められた生活費を差し引いた金額)の2年分という基準が加わります。
そのため,小規模個人再生の場合よりも返済額が高額になりがちですが,逆に,小規模個人再生の要件である債権者数の過半数および債権額の2分の1以上の反対がないことという要件は,給与所得者等再生には要求されていません。

Q.小規模個人再生と給与所得者等再生の違いはなんですか?
小規模個人再生と給与所得者等再生の違いとしては,債権者の同意の有無,可処分所得額の要件の有無,再申立て制限の有無,免責の制限の有無があります。
小規模個人再生では,一定の債権者の反対がないことが必要ですが,給与所得者等再生では債権者の同意は一切不要です。そのため,極端に言えば,債権者全員が反対しても個人再生が可能です。
他方,小規模個人再生では,返済総額を決める基準は最低弁済額と清算価値ですが,給与所得者等再生では,小規模個人再生とは異なり,最低弁済額の算定に可処分所得の2年分という基準が加わります。
可処分所得は債務者の収入や扶養家族の状況によって高額になることもあるため,返済総額が小規模個人再生よりも給与所得者等再生の方が高額になりやすいといえます。
また,小規模個人再生は再申立てに制限はありませんが,給与所得者等再生の場合は,以前に給与所得者等再生を利用して完済したり,破産により免責を受けていたりすると,その後7年間は給与所得者等再生を利用できません。
さらに,小規模個人再生と異なり,給与所得者等再生を利用して完済した人は,再生計画の認可決定の確定時から7年間は,破産しても免責されません。

Q.小規模個人再生と給与所得者等再生とでは,どちらを選択した方が債務者にとって有利ですか?
給与所得者等再生は債権者の同意が一切不要という点が有利な点ですが,現状として反対する債権者はほとんどありません。
そのため,返済総額の点で有利な小規模個人再生の方が,債務者にとっては一般的には有利といえます。

Q.個人再生の場合,借金はどのくらい少なくなりますか?
小規模個人再生の場合には,①法律で定められた最低弁済額か②保有している財産の現在の合計金額のどちらか多い方の金額まで借金は減ることになります。
これを原則として3年間で返済していくことになります。

Q.最低弁済額とはどのようなものですか?
小規模個人再生の場合は,最低弁済額は借金の総額によって次の表のようになります。
給与所得者等再生の場合には,次の表の金額と可処分所得の2年分以上のいずれか多い金額となります。
借金の総額
(住宅ローンの額は含まない) 支払う最低金額
100万円未満 該当金額
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 該当金額の1/5
1500万円以上3000万円以内 300万円
3000万円以上5000万円以内 該当金額の1/10(上限500万)

Q.可処分所得とはどのようなものですか?
可処分所得とは,申立人の収入から,所得税・住民税および社会保険料を控除し,さらに政令で定められた生活費の金額を差し引いた後の所得の余剰分をいいます。
給与所得者等再生では,最低弁済額の算定に,可処分所得の2年分という基準が前記の表に加えて用いられます。

Q.清算価値保障とはどのようなものですか?
清算価値保障とは,弁済総額が破産した場合の配当額を下回らないということであり,より簡単にいうと「最低限現在保有している財産の総額分は支払わなければならない」ということです。
もしも清算価値を下回る個人再生が許されるとするならば,財産をすべて処分する代わりに残りの借金を帳消しにする自己破産制度と矛盾してしまうため,自己破産をした場合よりも,多く返済しなければならないということです。
清算価値の総額が,最低弁済基よりも高額の場合には,清算価値の総額は少なくとも返済しなければなりません。

Q.民事再生では,借金を減額した上でどのくらいの期間で返済することになりますか?
原則として3年以内で返済する必要があります。
ただし,再生債務者の収入では3年以内の返済が困難な特別の事情が認められる場合には,例外的に5年間の分割返済とすることもできます。

Q.民事再生では減額されない債務はありますか?
民事再生手続においても,再生債務者の経済的更生よりも優先される利益,すなわち
①税金等の公租公課
②養育費や扶養義務に基づく支払義務
③故意または重過失による不法行為に基づく損害賠償義務
④罰金等については,減額されません。

<他の手続との違い>

Q.民事再生と自己破産はどのように違いますか?
民事再生と自己破産の大きな違いとしては,借金の減額・免除,財産処分の有無,資格制限の有無の3つの点が挙げられます。
まず,自己破産は支払義務がそもそも免責されいわば借金が帳消しにされるのに対して,民事再生は,債務を大幅に減額した上で返済しなければなりません。
次に,自己破産をすると生活必需品以外の高価な財産は維持できませんが,民事再生の場合には,財産を維持することができます。
ただし,住宅以外の財産で,ローンが残っている場合は,所有権留保によりローン会社に引上げられる可能性が高いです。
また,自己破産と異なり,民事再生の場合には資格制限がなく,一定の職業に就くことが制限されることはありません。。

Q.浪費やギャンブルで借金をした場合でも,民事再生はできますか?
民事再生では,自己破産と異なり,債務の原因は問題とはならず,原則としてどのような原因であっても民事再生は可能です。

Q.民事再生と任意整理はどのように違いますか?
民事再生と任意整理は,自己破産と異なり,財産を維持できる点や,職種の資格制限がないという点で共通しています。
一方,民事再生は全ての債権者を対象とするのに対して,任意整理は債権者を選択できます。
また,民事再生は,債務を最大で1/10か100万円まで減額できるのに対して,任意整理では,大幅な減額は困難という違いがあります。

<民事再生の申立て>

Q.個人再生の手続を利用できるのはどんな人ですか?
今後継続的な収入が見込める人であれば利用できます。
個人再生のうち,給与所得者等再生では,定期的な収入がある事や収入変動の幅が少ない等の条件がつきます。

Q.正社員ではなくても民事再生はできますか?
正社員ではなくても,継続して収入を得る見込みがあれば,民事再生はできます。
民事再生では,「継続して収入を得る見込みがある」ことが要求されますが,雇用形態については,何ら規定はなく,アルバイトであっても,この要件を満たせば,民事再生をすることは可能です。

Q.休職中でも民事再生はできますか?
民事再生では,「継続して収入を得る見込みがある」ことが必要ですが,これは民事再生申立前後の状況により判断されますので,現在無職であっても,民事再生の申立前2ヶ月程度の時点で就職していれば,民事再生をすることができる場合もあります。

Q.専業主婦(主夫)でも民事再生はできますか?
民事再生では,「継続して収入を得る見込みがある」ことが必要です。
専業主婦の場合,本人に収入がない限り,配偶者の収入や養育費などの返済原資があっても民事再生はできません。
もっとも,本人にパートなどの収入が少しでもあり,配偶者の収入を合計した家計全体で考えて、返済が可能な場合には、民事再生が可能な場合もあると考えられます。

Q.年金受給者でも民事再生は可能ですか?
年金も継続して得る見込みのある収入ですので、年金受給者でも民事再生を行うことは可能です。
ただ,生活費等の必要経費を除いて,債務を返済できる余裕が必要です。

Q.民事再生は自分ひとりでも申し立てることができますか?
民事再生も弁護士に依頼せず、自分ひとりで申し立てること自体はできます。
ただ、債権認否一覧表や再生計画案の提出など、手続きが複雑ですし、再生委員との面談が実施される場合もありますので、個人で行うのは現実には難しいといえます。

Q.個人再生の申立をすれば,債権者からの取立は止みますか?
個人で個人再生の申立をして裁判所から通知がされるか,弁護士に依頼して弁護士が受任通知を発すれば,債権者からの取立は止まります。金融庁事務ガイドラインにより,通知を受けた後の取立は禁止されているからです。

<民事再生の手続>

Q.再生計画案とはどのようなものですか?
再生計画案とは,民事再生手続により減額された後の債務を,将来どのように返済していくかを計画した返済計画案です。
債務者は,民事再生手続により減額された債務総額を,3年以内(場合によっては5年間)返済するかの計画を再生計画案に記載し,裁判所に提出します。

Q.どのような方法で返済しますか?
各債権者が指定する銀行口座に振り込む方法により返済します。
基本的には1ヶ月毎に支払いますが,再生計画により3ヶ月毎に支払うようにすることもできます。

Q.再生計画案が裁判所に認可されなかった場合,その後の手続はどうなりますか?
債権者の反対や遂行される見込みのない再生計画案により,裁判所が再生計画案の不認可決定を出した場合,民事再生手続は終了し,債務は減額されません。
この場合,不認可とされた理由を解消して改めて民事再生の申立をやり直すか,自己破産を選択することが必要です。

Q.再生計画どおりに返済ができなくなった場合,減額された債務はどうなりますか?
再生計画に従った返済ができない場合,再生計画が取消される場合があり,この場合減額された債務は元に戻ります。
ただし,返済できなくなった事情が,病気や失業など,やむ絵を得ない事情によるものであり,返済期間を延長すれば,再生計画で定められた返済ができる場合には,再生計画の変更ができます。
また,再生計画に従い,すでに4分の3以上の返済ができている場合には,残金について免除をうけることもでき,これをハードシップ免責といいます。
もっとも,再生計画の変更もハードシップ免責も容易には認められず厳格な要件が規定されていますので,基本的には再生計画は変更できないと考えるべきです。

Q.ハードシップ免責とは何ですか?
再生計画に従い返済をしている最中に,病気や失業により今後の再生計画どおりの返済が困難となった場合,残っている債務の支払義務を免除する制度を,ハードシップ免責といいます。
ハードシップ免責を受けるための条件は次のとおりです。
①再生債務者の責めに帰せない事由によって再生計画の遂行が困難となったこと
②再生計画の変更は困難であること
③既に再生計画による返済総額の3/4以上の額を支払っていること
④破産した場合に想定される債権者への配当額以上の返済をしていること

Q.これまで一度も返済していない場合はどうなりますか?
これまでに一度も返済をしていない場合,債権者は再生計画を不同意とすることも考えられ,一度も返済をしていない事情によっては,当初から民事再生により減額をする意思で借入をしたとして,詐欺罪等に問われることもあり得ます。
借入の金額や時期等にもよりますので,個人で悩まず弁護士に相談すべきです。

<周囲への影響>

Q.民事再生をしたことは官報に掲載されますか?
民事再生をすると,官報に氏名・住所が掲載されますが,一般人が官報を見ることはあまりないため,官報により民事再生をしたことが周囲に知られることはあまりないと考えられます。

Q.家族に知られずに,民事再生をすることはできますか?
官報をご家族の方が見ることはあまり考えられませんし,弁護士に依頼すれば書面が自宅に送付されることもありません。
しかし,家計収支表など家族の協力を要するものもありますし,再生計画通りに返済をするには,家族の協力が必要な場合もあると思われますので,ご家族にお話しすることを基本的には進めております。

Q.友人から借金がありますが,友人だけ債権者に入れないことはできますか?
民事再生では,任意整理や特定調停とは異なり,すべての債権者を対象とする必要があります。
友人からの借金についても,他の債権者と同様に取り扱うことが要求されており,除くことはできません。

Q.勤務先に知られずに民事再生をすることはできますか?
民事再生をすると,官報に氏名と住所が掲載されますが,一般人が官報を見ることはあまりありませんので,特に勤務先が官報を購読しているような場合でない限り,官報から勤務先に知られる可能性は低いと思われます。
ただし,勤務先からも借入等をしている場合は,他の債権者と同様に債権者と取扱い,勤務先のみを債権者から除くことはできませんので,この場合は勤務先に知られることになります。

Q.勤務先から借金があり,毎月給与天引で返済していますが,この場合どうなりますか?
民事再生では,他の債権者を差し置いて,一部の債権者のみに返済することが禁止されています。
したがって,勤務先から借金があり給与天引きされている場合には,天引を停止するように勤務先に対して依頼することになります。

Q.民事再生を行うと今の職場を辞めなければなりませんか?
民事再生では,自己破産のような資格制限はなく,一時的にでも資格を制限され職を失うことはありません。 また一般の職種においても,民事再生手続をしたこと自体を理由に解雇することは,通常解雇権の濫用として許されないため,その意味でも今の職場を辞める必要はありません。

Q.民事再生を行うと保証人に迷惑がかかりますか?
迷惑がかかります。
民事再生は,任意整理や特定調停とは異なり,保証人が設定されている債務の債権者を,手続から除外することはできません。
そのため,主債務者が民事再生をした場合,債権者は保証人に一括請求をすることになります。
民事再生をする場合には,予め保証人と保証債務の返済方法について十分に相談をして,場合によっては保証人も債務整理の準備をする必要があります。
なお,住宅ローンの保証人に関しては,個人再生の再生計画案に住宅ローン特則を利用することで,住宅ローンの保証人に迷惑を掛けることなく債務整理を行うことができます。

<住宅への影響>

Q.民事再生を行うと住宅は処分されますか?
債務整理の手段として自己破産を選択すると,住宅などの高価な財産を手放さなければなりません。
これに対し民事再生は,高価な財産を維持しつつ債務を大幅に減額して整理できる制度であり,再生計画に住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン条項)を定めて,住宅を維持することができます。

Q.住宅ローン条項とはどのようなものですか?
住宅ローン条項とは,ローンが残っている住宅を維持したい場合に,住宅と住宅ローンを除いて民事再生をするための特別な定めのことをいいます。

Q.住宅ローン条項を定めると住宅は維持できますか?
住宅ローン契約では,通常,借主が民事再生等をした場合には,期限の利益を喪失し,住宅ローンの全額を返済しなければならないという期限の利益喪失条項を定めています。
しかし,民事再生手続において住宅ローン条項を定めた場合,従来どおり住宅ローンの返済を継続することで住宅を維持することができます。

Q.住宅ローンは減額されますか?
民事再生の住宅ローン条項は,住宅ローンを民事再生の減額の対象外とすることで,住宅を維持する手続です。
したがって,住宅ローン条項を定めた場合,住宅ローンは減額されず,支払を続けていくことになります。

Q.民事再生で住宅ローンの返済期間や返済方法を変更することはできますか?
住宅ローンの返済期間や返済方法の変更について,民事再生法では以下の4つの方法が規定されています。
①期限の利益回復型
当初の契約どおりに住宅ローンを返済しながら,滞納している分については別途,期間を定めて分割で返済していく方法。
②期限延長型(リスケジュール型)
住宅ローンの返済期間を延長することによって,月々の返済金額を少なくする方法。
③元本猶予期間併用型
期限延長型でも住宅ローンの返済が難しい場合,住宅ローンの返済期間を延長すると同時に,住宅ローン以外の債務の返済期間中は,住宅ローンの返済額を少なくしてもらう方法。
④同意型
期限の利益回復型,期限延長型,元本猶予期間併用型のどの方法を選択しても住宅ローンの返済が難しい場合,住宅ローンの債権者の同意を得ることによって,さらに住宅ローンの返済方法に変更を加える方法。

Q.住宅ローン条項はどのような場合に利用できますか?
住宅ローン条項を競ってする要件として,民事再生法ででは,次の4つを規定しています。
①民事再生をする人が住宅を所有していること
②民事再生をする人が住宅に居住していること
③住宅に住宅ローンの抵当権が設定されていること
④住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと

Q.住宅ローン条項は自宅を共有している場合でも利用できますか?
自宅が共有であっても利用できます。
共有持分の割合についての制限もなく,仮に自分の持分が極めて僅かであってもその他の要件を満たせば住宅ローン条項は利用できます。
従って,夫婦や親子で自宅を共有している場合でも住宅ローン条項を利用することが可能です。

Q.自宅は借地の上に建っていますが,敷地が自分の土地ではなくても住宅ローン条項を利用できますか?
民事再生法において,住宅の敷地を所有していることは住宅ローン条項を利用するための要件とはなっていません。
したがって,自宅が借地の上に建っていても住宅ローン条項を利用できます。

Q.住宅ローン条項は,単身赴任中で自宅に居住していない場合でも利用できますか?
民事再生法においては,住宅ローン条項を利用するために,住宅に現に居住していることまでは要求されていません。
これは,多くのサラリーマンの実情としては,生活の本拠となる住宅を取得した後も,転勤等の理由により自宅に家族を残して単身赴任することや,一時的に自宅を他人に賃貸することもあり得るからです。
そこで,現に居住していなくても,将来的に居住する予定があれば足り,単身赴任中でも,住宅ローン条項を利用することができます。

Q.私は,自宅の一階部分を店舗として個人事業を営んでいます。この場合でも住宅ローン条項を利用できますか?
住宅が店舗兼自宅の場合,「床面積の2分の1以上に相当する部分が居住用に供されている」ことが住宅ローン条項を利用するために必要となってきます。 これを満たせば住宅ローン条項の利用はできます

Q.私の住宅は二世帯住宅ですが,この場合でも住宅ローン条項は利用できますか?
二世帯住宅であっても,民事再生をする人が床面積の2分の1以上を居住用として利用している場合には,住宅ローン条項を利用することができます。

Q.別荘や投資用マンションでも住宅ローン条項を利用できますか?
住宅ローン条項を設定するためには,「住宅」が「自己の居住の用に供する建物」であることが要求されていますので,別荘や投資用マンションでは,住宅ローン条項は利用できません。

Q.住宅ローンの抵当権が,建物と敷地の両方に設定されている場合でも住宅ローン条項を利用することができますか?
この場合でも,敷地に住宅ローン以外の抵当権が設定されていない限り,住宅ローン条項を利用できます。

Q.住宅ローンと同時に諸費用ローンを組み,諸費用ローンについても住宅に抵当権を設定しました。この場合でも,住宅ローン条項を利用することができますか?
住宅ローン条項を用いるには,抵当権の被担保債権が「住宅資金貸付債権」であることが必要ですが,住宅の建設・購入に必要な資金であれば「住宅資金貸付債権」に当たるため,諸費用ローンを被担保債権とする抵当権が設定されていても,住宅ローン条項は使えます。

Q.自宅に住宅ローン以外の債権者の抵当権が設定されていますが,住宅ローン条項を利用できますか?
この場合には住宅ローン条項の利用要件を満たさないため利用することはできません。

Q.自宅を購入する際,夫婦で全く独立の住宅ローンを組んで資金を捻出しました(ペアローン)。この場合に,住宅ローン条項を利用することはできますか?
ペアローンとは,同じ金融機関から夫婦が各自自分のローン部分について契約を締結して,それぞれ抵当権を設定するものをいいます。
住宅ローン条項を利用するためには,住宅に,個人再生をする人の住宅ローン以外の抵当権が設定されていないことが必要ですが,ペアローンの場合,形式的には,住宅に他人の債務を担保する抵当権が設定されていることになり,要件を満たしていないようにも思われます。
しかし,この要件は住宅ローン以外の抵当権が実行されることにより住宅ローン条項が無意味になってしまうのを回避することにありますから,同一家計を営んでいる夫婦や親子の場合には,住宅ローン条項の利用を認めても問題はありません。
そこで,大阪地方裁判所では,取扱として,
①同一家計を営んでいる者が,いずれも個人再生の申立てをし(必ずしも同時申立てである必要はありません)
②いずれも住宅ローン条項を定める旨申述すること
の2要件を満たす場合には,ペアローンの場合に住宅ローン条項の利用を認めています。

Q.個人再生をすると住宅ローンの保証人はどうなりますか?
住宅ローン条項を定め,住宅ローンをこれまでどおり支払っていれば,個人再生をしても保証人に請求がいくことはありません。

Q.借金は住宅ローンだけでも,個人再生は可能ですか?
住宅ローン以外に借金があることは個人再生の要件とはなっていないため,借金が住宅ローンのみである場合でも,個人再生をすることは可能です。
実際上も,住宅ローンの一部を滞納しており,ローンの返済期間の延長が必要な場合や,ペアローンの場合などには,借金が住宅ローンだけでも個人再生をするメリットがあります。

Q.住宅ローンを滞納している場合でも住宅ローン条項を利用できますか?
住宅ローンを滞納して,保証会社が代位弁済をしてから既に6ヶ月間を経過してしまっている場合には,住宅ローン条項を利用することはできません。

Q.自宅の競売手続が開始されているのですが,この場合でも住宅ローン条項を利用することができますか?
住宅が競売されている場合でも,住宅ローン条項を利用することができます。
住宅の競売手続が開始された場合,抵当権の実行手続の中止命令を申し立て,再生計画の認可の見込みがあると認められる場合には,競売手続の中止命令が出されます。

<住宅以外の財産>

Q.民事再生をすると自動車は手放さなければなりませんか?
民事再生では高価な財産も基本的には維持することが出来ます。
自動車の場合,ローンが残っていなければ維持できます。
ただし,清算価値保障原則との関係で,再生計画における最低弁済額が自動車の価値以上となります。
自動車にローンが残っている場合には,通常は所有権留保を設定しているローン会社が自動車を引き揚げますので,維持できません。
維持する方法としては,ローン会社と交渉するか,第三者に代わりに自動車を買取って貰うという方法が考えられます。

Q.民事再生をすると生命保険は解約しなければいけませんか?
解約する必要はありませんが,清算価値保証原則との関係で,再生計画における返済額が解約返戻金以上となります。

Q.民事再生をすると退職金見込額を支払わないといけませんか?
退職金見込額も財産ですので,清算価値保証原則との関係が問題となりますが,将来発生する不確定な財産ですので,実務上,退職金見込額の8分の1が対象となります。

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