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債務整理に関する基礎知識

債務整理に関する裁判例

1 利息制限法1条2項の解釈に関する裁判例
利息制限法1条1項は、制限利率を超える利息の定めを無効と定めていますが、一方、同条2項は、制限を超過する利息を任意に支払ったときは、「その返還を請求することができない」と規定していることから、制限利率を超過する利息を支払った場合、これを残元本に充当できないか、或いは返還請求できないかといった点が、古くから問題となっていました。

●最高裁判所大法廷昭和39年11月18日判決(民集18巻9号1868頁)
【問題となった争点】
債務者が利息制限法所定の制限を超える利息・損害金を任意に支払ったとき、右制限を超えて支払った金員は、当然に元本に充当されるか。
【【判決の要旨】
「債務者が、利息制限法(以下本法と略称する)所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払ったときは、右制限をこえる部分は民法491条により残存元本に充当されるものと解するを相当とする。」
「債務者が利息、損害金の弁済として支払った制限超過部分は、強行法規である本法1条、4条の各1項により無効とされ、その部分の債務は存在しないのであるから、その部分に対する支払は弁済の効力を生じない。
従って、債務者が利息、損害金と指定して支払っても、制限超過部分に対する指定は無意味であり、結局その部分に対する指定がないのと同一であるから、元本が残存するときは、民法491条の適用によりこれに充当されるものといわなければならない。」
【【解説】
本判決は、「債務者が任意に支払った制限超過部分は残存元本に充当されるものと解することは、経済的弱者の地位にある債務者の保護を主たる目的とする本法の立法趣旨に合致するものである。」として、借主保護の観点を明確に打ち出し、残存する元本への当然充当を認めたものです。

●最高裁判所第3小法廷昭和43年10月29日判決(民集22巻10号2257頁)
【問題となった争点】
債権者との間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約がある場合に、債務者が利息制限法所定の制限を超える利息を支払ったとき、超過利息はどのように充当されるか。
【判決の要旨】
「金銭を目的とする消費貸借上の債務者が、利息制限法所定の制限をこえる利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は強行法規である同法1条、4条の各1項によって無効とされ、その部分の債務は存在しないのであるから、その部分に対する支払は弁済の効力を生じないものである。
したがって、本件のように数口の貸金債権が存在し、その弁済の充当の順序について当事者間に特約が存在する場合においては、右債務の存在しない制限超過部分に対する充当の合意は無意味で、その部分の合意は存在しないことになるから、右超過部分に対する弁済は、充当の特約の趣旨に従って次順位に充当されるべき債務であって有効に存在するものに充当されることになるものと解すべきである。
右のような場合における充当の関係は、法律問題に属するから、これについて所論のように当事者から特別の申立ないし抗弁が提出されることを要するものではないと解するのが相当である。」
【解説】
本判決は、当事者間に弁済の充当に関する合意があったとしても、制限超過部分に対して充当の合意は無意味であるとして、有効に存在する別の元本に充当することを認めたものです。
また充当に関する問題については、当事者の主張にとらわれず裁判所が判断するべき事柄であることを明らかにしています。
なお本件は数口の貸金債権間の充当に関する問題ですが、本判決は、基本契約の有無を問わず充当を認めている点にも意義があります。

●最高裁判所大法廷昭和43年11月13日判決(民集22巻12号2526頁)
【問題となった争点】
債務者が利息制限法所定の制限を超える利息・損害金を任意に支払い、制限超過部分を元本に充当し元本が完済となった場合、債務者は完済以後の超過部分の返還を請求できるか。
【判決の要旨】
「利息制限法1条、4条の各2項は、債務者が同法所定の利率をこえて利息・損害金を任意に支払ったときは、その超過部分の返還を請求することができない旨規定するが、この規定は、金銭を目的とする消費貸借について元本債権の存在することを当然の前提とするものである。
けだし、元本債権の存在しないところに利息・損害金の発生の余地がなく、したがって、利息・損害金の超過支払ということもあり得ないからである。」
「したがって、債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に利息・損害金の支払を継続し、その制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となったとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
【解説】
本判決は、債務者が利息制限法所定の制限を超える利息・損害金を任意に支払い、制限超過部分を元本に充当し元本が完済となった場合、もはや元本債権が存在せず、そもそも利息制限法1条2項・4条2項の適用はないとして、過払金について不当利得返還請求を認めたものです。

●最高裁判所第3小法廷昭和44年11月25日判決(民集23巻11号2137頁)
【問題となった争点】
債務者が、元本と超過利息とを別々ではなく一緒に支払った場合に、元本を超える部分について不当利得返還請求が認められるか。
【判決の要旨】
最高裁は、最高裁判所大法廷昭和39年11月18日判決及び、最高裁判所大法廷昭和43年11月13日判決を引用した上で、「この理は、債務者が利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金を、元本とともに任意に支払った場合においても、異なるものとはいえないから、その支払にあたり、充当に関して特段の指定がされないかぎり、利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金はこれを元本に充当し、なお残額のある場合は、元本に対する支払金をもってこれに充当すべく、債務者の支払った金額のうちその余の部分は、計算上元利合計額が完済された後にされた支払として、債務者において、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。
けだし、そのように解しなければ、利息制限法所定の制限をこえる利息・損害金を順次弁済した債務者と、かかる利息・損害金を元本とともに弁済した債務者との間にいわれのない不均衡を生じ、利息制限法1条および4条の各2項の規定の解釈について、その統1を欠くにいたるからである。」と判示しました。
【解説】
最高裁昭和43年11月13日判決は、元本とは別に利息及び損害金として支払った金員の充当に関する判断でしたが、本判決は、この点について、元本とともに支払ったかそうでないかで結論を異にすることの不均衡や借主間の公平を図るため、元本と利息・損害金を一括して支払った場合であっても、借主は制限超過利息を不当利得として返還請求できると認めたものです。

2 引直計算方法・充当の問題に関する裁判例

●最高裁判所第3小法廷昭和46年3月30日判決(判タ263号202頁)
【問題となった争点】
 数個の債務について元本のほかに費用、利息を支払うべき場合において、弁済する者がその債務の全部を消滅させるに足りない給付をしたとき、数個の債務の費用、利息、元本にどのように充当されるか。
【判決の要旨】
「民法491条1項によれば、数個の債務について元本のほかに費用および利息(遅延損害金を含む。)を支払うべき場合において、その債務の全部を消滅させるに足りない給付をしたときは、費用、利息、元本の順序によりこれを充当すべきであるが、同条2項により、それら数個の債務の費用相互間、利息相互間、元本相互間における充当の方法について同法489条が準用される結果、数個の債務についての費用、利息は各債務の元本より先に充当されるべきものとなるのである」
【解説】
本判決は、数個の債務がある場合には、個別に費用、利息、元本の順序に充当するのではなく、各債務の費用・利息から先に充当し、次にそれぞれの元本に充当すべきであると判断したものであり、契約上各債権が別口であるか否かを考慮することなく、すべての取引を一連として計算することを認めたものです。

●最高裁判所第3小法廷昭和48年9月18日判決(金融法務事情701号32頁)
【問題となった争点】
 制限超過利息を元本に充当した場合、次の利息の計算は充当後の元本金額を基礎とすべきか、充当前の元本の金額を基礎とすべきか。
【判決の要旨】
「制限超過の利息・遅延損害金の支払いがされたときは、その超過部分は法律上当然元本に充当され、」「その残元本についてのみ利息・遅延損害金を生ずることとなるので、利息・遅延損害金が法定の制限内であるかどうかは、右の残元本を基準として算定すべきものである」
【解説】
 本判決は、制限超過利息の定めのある金銭消費貸借契約の利息の計算について、制限超過利息を元本に充当した結果、減額された元本額を基礎に利息が計算されることを明らかにしたものです。

●最高裁判所第2小法廷平成15年7月18日判決(民集57巻7号895頁)
【問題となった争点】
基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において発生した過払金は、その時点で存在する別口の借入金債務へ充当されるか。
【判決の要旨】
「同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けとその返済が繰り返される金銭消費貸借取引においては、借主は、借入れ総額の減少を望み、複数の権利関係が発生するような事態が生じることは望まないのが通常」である。
「弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果当該借入金債務が完済され、これに対する弁済の指定が無意味となる場合には、特段の事情のない限り、弁済当時存在する他の借入金債務に対する弁済を指定したものと推認することができる。」
「同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において、借主がそのうちの1つの借入金債務につき法所定の制限を超える利息を任意に支払い、この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合、この過払金は、当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り、民法489条及び491条の規定に従って、弁済当時存在する他の借入金債務に充当され」る。
【解説】
 本判決は、一つの基本契約に基づく金銭消費貸借取引について過払金が発生した際に、別口の借入金債務が存する場合、当事者間の合理的意思を根拠に、特段の事情のない限り、過払金は別口の債務に充当されると判断したものとしたものです。

●最高裁判所第3小法廷平成19年2月13日判決(民集61巻1号182頁)
【問題となった争点
貸主と借主との間で継続した金銭消費貸借取引を行う旨の基本契約が締結されていない場合において、第1の取引に関して発生した過払金は、第2の取引に基づく貸付金に充当されるか。
【判決の要旨】
「貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合において、第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し(以下、この過払金を「第1貸付け過払金」という。)
その後、同一の貸主と借主との間に第2の貸付けに係る債務が発生したときには、その貸主と借主との間で、基本契約が締結されているのと同様の貸付けが繰り返されており、第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか、その貸主と借主との間に第1貸付け過払金の充当に関する特約が存在するなどの特段の事情のない限り、第1貸付け過払金は、第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず、第2の貸付けに係る債務には充当されないと解するのが相当である。」
「なぜなら、そのような特段の事情のない限り、第2の貸付けの前に、借主が、第1貸付け過払金を充当すべき債務として第2の貸付けに係る債務を指定するということは通常は考えられないし、第2の貸付けの以後であっても、第1貸付け過払金の存在を知った借主は、不当利得としてその返還を求めたり、第1貸付け過払金の返還請求権と第2の貸付けに係る債権とを相殺する可能性があるのであり、当然に借主が第1貸付け過払金を充当すべき債務として第2の貸付けに係る債務を指定したものと推認することはできないからである。」
【解説】
本判決は、継続した金銭消費貸借取引について「基本契約」が締結されていない場合において、「基本契約が締結されているのと同様の貸付けが繰り返されており、第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか、その貸主と借主との間に第1貸付け過払金の充当に関する特約が存在するなどの特段の事情」が認められない限り、第1の取引に関して生じた過払金を第2の取引に基づき生じた貸付金に充当することを否定しました。
制限超過利息は当然に残元本に充当されるという考え方からすれば、一つの金銭消費貸借取引に基づいて生じた過払金については、別口の債務にも当然充当されるはずでした。
ところが平成15年7月18日付最高裁判決が、別口債務への充当の根拠として当事者の合理的意思に言及したため、その表面上の文言が一人歩きした結果、本来ならば充当の問題とは無関係であるはずの「当事者の意思解釈」を根拠に、本件でも充当が否定されたものと考えられています。